「生活保護を受けることになったけど、住む家はどうやって探せばいいんだろう?」
「不動産会社に行っても、断られてしまうのではないか…」

生活保護を利用しながら住まいを探すとき、多くの方がこのような不安を抱えています。しかし、正しい知識と手順を知っていれば、安心して暮らせる物件を見つけることは十分に可能です。

この記事では、生活保護を受給している方、これから申請を考えている方がスムーズに物件探しを進められるよう、具体的なステップと知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。

ステップ1:物件探しの前に!まずはケースワーカーに相談

物件探しを始める前に、必ず担当のケースワーカーに相談しましょう。これが最も重要な最初のステップです。自己判断で物件を決めてしまうと、後から家賃補助(住宅扶助)が受けられないといったトラブルにつながる可能性があります。

ケースワーカーに相談すべきことは主に以下の3つです。

  1. 住宅扶助(家賃)の上限額の確認
    住宅扶助として支給される家賃には、お住まいの地域や世帯の人数によって上限額が定められています。この上限額を超える家賃の物件は原則として認められません。まずはご自身の家賃上限額がいくらなのかを正確に把握しましょう。
  2. 転居の必要性の確認
    現在住んでいる家から転居する場合、「なぜ転居が必要なのか」という理由を説明し、許可を得る必要があります。「病気の治療のために病院の近くに住みたい」「現在の住環境が悪く、健康を害する恐れがある」など、正当な理由が必要です。
  3. 初期費用(一時扶助)の確認
    賃貸契約には、敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、鍵交換費用などの初期費用がかかります。これらの費用は「住宅一時扶助」として、家賃とは別に支給される場合があります。どこまでの費用が支給対象になるのか、上限額はいくらかを事前に確認しておくことが大切です。

ステップ2:希望する物件の条件を整理する

ケースワーカーから家賃上限額や初期費用について確認が取れたら、次は探す物件の条件を具体的に整理していきましょう。あらかじめ条件をまとめておくことで、不動産会社との話がスムーズに進みます。

  • 家賃:ケースワーカーに確認した上限額の範囲内で設定します。
  • エリア:役所や病院、スーパーへのアクセス、治安などを考慮して希望の地域を絞ります。
  • 間取り:単身者であればワンルームや1Kが一般的です。
  • こだわり条件:バス・トイレ別、エアコン付き、室内洗濯機置き場など、ご自身の生活に必要な「譲れない条件」と「あれば嬉しい条件」を分けて考えておくと、物件選びがしやすくなります。

ステップ3:不動産会社を探して訪問する

条件が固まったら、いよいよ不動産会社を訪問します。ここが一番のハードルと感じるかもしれませんが、いくつかのコツがあります。

探し方1:「福祉専門」「生活保護可」の不動産会社を探す

最近では、生活保護受給者や高齢者など、住宅の確保が難しい方への物件紹介を専門に行う不動産会社が増えています。インターネットで「〇〇市(地域名) 生活保護 物件」「福祉に強い 不動産」といったキーワードで検索してみましょう。このような会社は制度への理解が深く、親身に相談に乗ってくれることが多いです。

探し方2:地域密着型の不動産会社に相談する

全国展開している大手よりも、その地域に昔からあるような中小の不動産会社の方が、大家さんとの関係が深く、柔軟に対応してくれるケースがあります。

訪問時のポイント:正直に状況を伝える

不動産会社を訪ねる際は、隠し事をせず、正直に状況を伝えることが信頼関係を築く上で非常に重要です。

「現在、生活保護を受給しており、家賃〇万円以内で物件を探しています。ケースワーカーさんには相談済みです」

このように、はっきりと伝えましょう。もし断られても、それは縁がなかっただけです。落ち込まずに、次の不動産会社を探す気持ちで臨みましょう。

ステップ4:保証人の問題をクリアする

賃貸契約で大きな壁となるのが「連帯保証人」です。親族に頼むのが難しい場合も多いでしょう。しかし、解決策はあります。

  • 保証会社を利用する:現在最も一般的な方法です。家賃の数割(30%~100%程度)の保証料を支払うことで、保証会社が連帯保証人の役割を担ってくれます。この保証料は、多くの場合、初期費用として住宅一時扶助の対象となりますので、事前にケースワーカーに確認しておきましょう。
  • 保証人不要の物件を探す:数は限られますが、UR賃貸住宅や一部の物件では保証人が不要な場合があります。不動産会社に「保証人不要の物件はありますか?」と聞いてみるのも一つの手です。

ステップ5:内見から契約までの流れ

気になる物件が見つかったら、契約までの最終ステップに進みます。

  1. 内見(物件見学)
    日当たりや風通し、水回りの状態、壁や床の傷、近隣の騒音など、実際に自分の目で確かめましょう。気になる点があれば、遠慮なく不動産会社の担当者に質問してください。
  2. 申し込みとケースワーカーへの報告
    住みたい物件が決まったら、入居申込書を提出します。同時に、その物件の家賃や初期費用の見積もりなどをケースワーカーに提出し、「この物件で契約を進めて問題ないか」の最終確認と許可を得ます。
  3. 契約手続き
    ケースワーカーの許可が下りたら、正式な契約手続きに進みます。契約書類に署名・捺印し、初期費用を支払います。この際、役所から不動産会社や大家さんに家賃を直接支払ってもらう「代理納付」という制度を利用することが多いです。代理納付は大家さん側の家賃滞納リスクをなくすため、審査に通りやすくなるメリットがあります。

まとめ:諦めずに、一歩ずつ進めましょう

生活保護を受給しながらの物件探しは、確かに簡単な道のりではないかもしれません。しかし、一つひとつのステップを丁寧に進めていけば、必ず道は開けます。

成功のポイント

  • 最初にケースワーカーに相談し、味方につける。
  • 不動産会社には正直に状況を伝える。
  • 断られても諦めず、複数の会社を訪ねる。
  • 保証人の問題は「保証会社」の利用を検討する。

この記事が、あなたの新しい生活の第一歩となる、安心できる住まいを見つけるための一助となれば幸いです。あなたの新生活を心から応援しています。

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